水にも、いろいろ。

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水にも、いろいろな水があります。

水道の蛇口から出てくる水であっても、同じではないのです。
飲用可なものも飲用不可なものもありますが、そこは別の機会にしましょう。

今回は、水に関わる失敗談です。

瞬間冷却式の冷水チラーを納品した時のことです。
瞬間冷却式とは、機械の中を通過する間に、水を冷やして供給する機器です。
その構造は、まず水槽があり水槽の中の外側に冷却用の銅管が配置されています。
中央付近にも管があるのですが、これは水など冷やされるものが通る管となります。
場合によっては飲用の水を通すことなどもあるので、チタン管などが使われることが多いようです。
そして、中央の上方か下方から水を攪拌するための羽根がついています。

水槽の中に水を入れます。そして、銅管の周辺の温度が下がっていきます。
拡販する羽根が回っているため水は銅管の周辺から順に凍っていきます。
中央のチタン管などには、水分が通るため、冷やしすぎると中の水分が凍ってしまいます。
そのため、氷はチタン管より手前で凍らないようにする必要があります。
水は、0℃付近で凍るので、氷水の0℃付近の温度が冷やせる限界ということです。
チタンなどの管の長さを変えることで、冷やせる温度が決まります。
そして、銅管の温度制御ですが、これはサーモスタットなどを使うことは、まずありません。
チタン管の付近を0℃の氷水にすればいいだけのことなので、銅管のまわりが凍っていればいいだけです。
ただし、チタン管まで凍ってしまうと、0℃以下になってしまい中の水分が凍るかもしれない。凍ってしまうとチタン管の中の水分は固まってしまって、機械から外に出てこれなくなるということです。

このような場合、銅管の内側、つまりチタン管より外となる部分に電極をおいて温度の制御をします。
電極を銅管の内側の上下に配置して、どこまで凍らせるか制御しているわけです。
どういうことかと言えば、水は電気を通しますが、氷は電気を通さないのです。
つまり、電極間に電気が流れるということは、そこに水があるのですが、電極間に電気が通らなくなれば、そこは凍っているということです。電極間に導通がある時は冷凍機を動作させる。電極間に導通がなくなれば冷凍機を止める。こうすることで一定量の氷を維持できることになります。

水は、電気を通す。氷は電気を通さない。この原理を上手く利用した温度制御方式なのです。

さて、ここで問題になるのが、全ての水は同じではないということです。
一般に水道水として利用される水はカルキを入れて水の衛生を保っていることが多いです。
ところが、地下水などを利用している場合には、カルキなどは全く添加されていない場合もあります。
純粋な水、H2Oの成分のみだと、実は電気を通しやすい成分とはいえないのです。

水槽に水を入れて、電源を入れました。
冷凍機が全く回ろうとしてくれないのです。
電極間に導通がないのかと考えて、水を抜いた後で、電極間を配線で短絡させてみました。
そして、電源を入れると冷凍機は通常の動作をして冷え始めます。
つまり、機械は正常な動作をしているということです。
そこで、再度、水槽に水を入れてみて電源を入れました。
ところが冷凍機は、動作しようとしません。
つまり、その水は電気を通しにくい水だったのです。

水は電気を通すもの。と固定観念を持っていたため少し悩みました。
とりあえず動作させるためには電極間を短絡すればいいのですが、配線で短絡させたのでは自動制御ができません。
水槽に入る水は、約20リットルでした。
1/1のホテルパンに、この水を入れてメガテスターの片側をホテルパンに当てて、もうひとつのテストリードを中央付近の水中に入れて導通を確認すると、数MΩの抵抗がありました。水としては極めて電気を流しにくい状態です。通常の水道水ならメガテスターなら、振り切るほどの導通があるはずです。

そこで、知り合いに電話して、別の水道水を持ってこさせました。18リットルの通常は灯油を入れるポリタンク2つに水道水を入れさせて持ってきてもらったのです。その水を水槽に入れて電源を入れると、瞬間冷却式の冷水チラーは通常動作を始めました。冷凍機は動き始めたのです。そして電極が氷で覆われると、冷凍機はきちんと止まります。


いちおう、めでたしめでたし。となったわけですが、この話を知り合いにすると、笑いながら一言、言われました。
「少し、酢を入れたら動いてただろうに。」

そうなのです。
たぶん、水槽に少し酢を入れれば動作したと思います。
動かなくて水が怪しいと思った時に思いついたのは、塩か洗剤でした。
しかし、どちらも銅管に悪影響を与えるかもしれないと思って添加することはできなかったのです。
おそらく、塩を入れても、洗剤を入れても瞬間冷却式の冷水チラーは動作していたと思います。


少量の酢であれば、銅管に悪影響を与えることは少ないと思われます。
塩は、酸化させる作用が強いので、通常よ早く銅管を酸化させたかもしれません。チタン管への影響はないでしょう。
洗剤も電気は通しやすいものですが、銅管やチタン管に与える影響は、どの程度かわかりません。


修理には、多くの知識が必要です。
この時に、酢を考えられたなら、特に焦る事もなく終わっていたことかもしれません。
水にも、いろいろな水があるのです。
基本的には、水は電気を通す、氷は電気を通さないものですが、水の成分が変わってしまうと、電気を通しにくい水もあるのです。水槽の中の水が汚れすぎたために、電気を通しにくくなって動作しなくなった冷水チラーもあります。多くの基礎的なことを覚えないと修理は時間のかかるものになってしまいます。しかし、知っている人にとっては、なんでもないことなのです。










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